江別産煉瓦の歩みとこれから① ~KUOGSと米澤煉瓦~

2021.8.30(mon)

KUOGSでは長年にわたり北海道江別産煉瓦を販売してきました。取扱いメーカーは今や江別に2社しかない内の1社である創業84年の老舗メーカー、米澤煉瓦株式会社です。取引の始まりは昭和60年代に札幌市厚別区のひばりが丘団地建替事業にて、敷設用としての煉瓦の開発を共同で行った事からになります。 

 

札幌市のシンボルマークである「札幌市徽章」の雪の結晶をモチーフにした形を煉瓦で表現する為に、試行錯誤して完成したのがクロス型(十字型)煉瓦でした。このクロス型煉瓦はひばりが丘団地を皮切りに札幌市図書館など札幌市及び全道の公共工事、更には東京都の歩道工事など多岐にわたり採用されました。それ以降、敷設用としての煉瓦の問題点である角欠けを防ぐ為に煉瓦の角を落とし、商品同士が緩衝しないように側面部に突起を付けたストレート型の開発など、従来煉瓦は建築材としての使用方法が主であった所、敷設材としての製品開発により用途が広がり、公共施設、民間住宅外構と多く使用され、煉瓦の普及に繋がりました。

 

米澤煉瓦の最大の強みはその技術力にあります。初期からの開発商品であるクロス型やストレート型の緩衝を防ぐ突起など、まさにその技術力の結晶ともいえます。

煉瓦が製品となるまでには、

 

①粘土と山砂を各製品によってブレンド(特殊色を除き江別市野幌の原材料100%使用)

②一定の水分量にて混錬

③原料の空気を抜いてピアノ線でカットし整形

④20~30日かけて乾燥

⑤正確に火が通る様、また崩れないよう窯積み

⑥焼き時間、空気量、積込量、火力を調整し焼成。

⑦形、寸法、色など選別確認し梱包・出荷

 

と、いった工程にて製造され、製造日数はおよそ2か月間必要となります。基本、煉瓦の色は焼成の仕方のみで色分けされる為、自然の原材料のみで製造する煉瓦は、その時々による土の状態を見極めブレンド、気候条件等を考慮し乾燥時間、焼成温度の調整など各工程に熟練の技術力が必要となります。また、焼成すると整形した材料は収縮する為に形が複雑である程、製造が難しいので最初の開発製品がクロス型(十字型)であった事にもその高い技術力があったからこそと思います。今や全国から特注の煉瓦が依頼される程、業界内の知名度も高くなっています。

 

クロス型煉瓦以降もKUOGSでは企画提案し米澤煉瓦と色々な煉瓦の製品開発を行ってきました。新品でありながらダメージ加工をしアンティークな表情のBCレンガ、正方形のピンコロレンガ、4種類のサイズバリエーションとコストパフォーマンスに優れた220タイプなど、バリエーションの充実さでは北海道は全国一かもしれません。現在も新たな商品開発を日々、企画検討しています。

 

 

次回は北海道産、江別産煉瓦の歴史を振り返ります。

写真1
 - 米澤煉瓦㈱ 現在も使用されている数少ない煉瓦煙突 -
写真2
 - 札幌市ひばりが丘団地 クロス型 (令和3年8月撮影) -